おひとりさまの終活を主題にした小説を見つけたので、つい読んでみました。
そんな小説があるんですね。そこから終活中の4つの陥りがちな心境をご紹介したいと思います。
「旅立ちの季節」
デビット・ゾペティ著
著者は、スイス人で、元テレビ朝日にいて、日本語で小説を書いているという
一風変わった方です。
妻に先立たれた一人の男が退役して終活に関わっていくというストーリーなのですが、
(以下、ネタバレ含む、ということでご容赦ください。)
途中の心の動きが、「ああ、そうだよなぁ」と感じさせる紆余曲折があります。
自分も同じシチュエーションだったら陥ってしまうかも、とシミュレーションができるぐらいリアリティがありました。
おひとりさまにとって参考になるし、予行練習しておきたいと思う心境の流れについて、以下4点をご紹介したいと思います。
心境➀
仕事一筋だった男が、それを失った時の空虚感
心境②
こんどは終活一筋、になりかけるが、それって仕事一筋の代わりに過ぎないのでは?
心境③
終活に熱中、没頭して終わりではなく、どう生きるかを見出すことが必要
心境④
だれにも迷惑をかけたくない、というこだわり
心境➀仕事一筋だった男が、それを失った時の空虚感
これは男性にありがちな現象かもしれません。結局この主人公はもう一度職場に復帰することで一時しのぎをしたような形となりました。普通の会社で言う嘱託社員みたいなものですよね。
これへの対策は、退職前に趣味を探しておく準備に尽きると思います。どうしても仕事に投ずる時間が多いと、その他へ思考が回らないこともあるかと思います。
若いときに熱中していたことや、本当はやりたかったけどあきらめた道、など、思い返したり、新しいことへの挑戦をするにしても、アイデアを生み出したり、いろいろと思いだす作業は時間のかかるものだと思いますので、5~10年ぐらいの時間を取って、老後のイメージを作ることは、退職後に抜け殻にならないために役に立つことと思います。
個人的には、何か仕事を見つけなきゃな~と考えています。やはり何か強制力がないと外出しないからです。例えば、小雨で趣味のウォーキングはしませんが、仕事なら傘をさしてでも出かけますから。
心境②こんどは終活一筋、になりかけるが、それって仕事一筋の代わりに過ぎないのでは?
主人公は、終活のコミュニティに加入して、情報交換や交流を重ねていくのですが、いろいろな制度(後見人など)、いろいろな葬儀のやり方など、様々な情報に触れて、選択肢は増えていくのですが、この終活への熱中だけで老後が終わっていいのだろうか? という疑問が浮かびます。
コミュニティ内には、現に終活コミュニティでの交流を楽しみにしているだけ、という女性も登場します。終活についてはそこまで没頭、実行することなく、この中での知り合いや知人との交流を楽しむという参加の仕方です。
主人公もそれに一定の理解を示しながらも、この中での知人はやはり浅い付き合いにすぎず、例えば後見人を依頼し合う仲になることは難しいという結論に達します。
コミュニティ内で、雑談のできる同じ境遇の知人、友人ができたとしても、いざというときに頼れるかと言うと難しい、というのは非常にリアルな観点だと思います。結局、終活の役には立っていないということでもあります。
心境③終活に熱中、没頭して終わりではなく、どう生きるかを見出すことが必要
コミュニティ内でも異端扱いされている紳士が、熱っぽく語るのが、
終活の手続きや葬儀の方法は、ここでの話題のメインにすべきではなく、同時に、何に没頭して生きるべきかを本気で話し合うべきなんだ。
という主張です。
これは正論ですが、皆そのようなものを発見できず、また発見する術も見いだせないため、この老紳士の発言を疎ましく敬遠するようなことになってしまっているのですが、主人公はこの事柄には思い当たるふしがあり、その意見に耳を傾けます。
その難しいことこそ、アイデアを出し合ってみんなで一緒にお互いに教え合えばよい。
主人公は老紳士に、コンサルをしてもらうような形で質問攻めにあい、得意だった沖縄料理の小料理屋を営む、というアイデアにたどり着きます。
たしかに、自分のことは自分でよくわからないものだったりしますので、この考え方は非常に参考になります。
自分に置き換えて考えてみると、このやりたいことを見つけるというのには、いざ老後になってからでは思いつかないだろうな、と思います。長いことかけて準備をするのもいいですが、他人に見つけてもらったり、相手のを自分が言い当てるというのは非常に良い相互関係ではないかと思います。
また、そんな中、昔の仲間から世界一周の船旅(ヨットでの冒険)への誘いの声がかかります。
行動を開始したことによって未来が開けてきた感じですね。
④だれにも迷惑をかけたくない、というこだわり
そんな主人公ですが、将来の展望が見えてきてもまだ満足しません。
最後に、他人に(家族にも)迷惑をかけたくないという、固いこだわりを持っています。
一番いいときに消えていきたい=美学
という考え方にたどり着き、安楽死などの選択肢を口にし始めます。
周囲は押しとどめようとしたり、健康な時にそんなことをしでかすわけがないと色々反応するのですが、結局本人の意思は固く、死の気配をまといながら目標へも邁進していきます。
終活とはそもそも人に迷惑をかけないための活動だったりしますけれども、絶対に、100%、迷惑をかけないように、と目指していくと、それは不可能なことも事実でしょう。実際、日常生活にはプロの業者に頼むほどでもないこともたくさんあり、知人に頼ったりするほうがお手軽だったりします。
それで、主人公は結局、なんと自殺を試みようとします。
個人的には、迷惑をかけないという基本方針で終活を行いつつも、迷惑をかけあえる近しい人間関係の構築もなんとかして作りたいと思っています。。
自分も相手も遠慮しすぎることや、気を使いすぎることなく、そんな関係を作ることができれば一番よさそうな気がしますが、この主人公は、人を世話するのはいいが、人から世話を受けることをかたくなに拒むというタイプでした。
主人公は最後、どうなったか?
は本編を読んでいただきたいのですが、こういった心境に陥ることも理解できなくもない、ということでご紹介しました。
まとめ
さて、まとめますと
「旅立ちの季節」
デビット・ゾペティ著
から、
終活中に陥りやすい心境を4つ拾い出してみました。
・心境➀
仕事一筋だった男が、それを失った時の空虚感
心境②
こんどは終活一筋、になりかけるが、それって仕事一筋の代わりに過ぎないのでは?
心境③
終活に熱中、没頭して終わりではなく、どう生きるかを見出すことが必要
心境④
だれにも迷惑をかけたくない、というこだわり
ということで、この小説を読むと自分が当事者になったらどうするかという事前のシミュレーションになります。
終活中にも、いろんな迷いやストレスが生じそうだということや、生き方をどうするかということは、やはり目を背けてはいられないことになります。
本編は、フィンランドと日本を舞台にした美しいオーロラをめぐる物語でもあります
私も気になって、すぐオーロラの動画をyoutubeに見にいっちゃったぐらい、美しい描写がされていました。
終活の研究ついでに一読してみてはいかがでしょうか?