おひとりさまの老後、財産を管理していくにあたって、いろんなリスク、悩みごとがでてきます。
・認知症になったら、お金の管理ができない
・財産を任せた人が着服など不正を行う
・不動産をどう扱ってよいか決めかねる
など
いろんな制度や、業者への相談など選択肢はありますが、
今回は財産の管理に絞って、
信託業務について、活用法やその考え方を紹介していきます。
信託業務とは
・代わりに財産を管理、運用してくれる
・目的、用途、受益対象者を決めて管理ができる
・第3者への遺贈、公益になるような使い方へも対応している。
信託銀行や、信託会社が窓口となってくれます。
今までは、門をくぐったことのない場所だったりしますよね。
さて、どういう風に使っていったものでしょうか。
財産の老後リスク、心配
1.認知症リスク
おひとりさまが認知症になってしまうと、
生活上の判断能力が徐々になくなっていき、
大事な財産についても、適切な取り扱いができなくなってしまいます。
例えば
・ATMでお金をおろすことができない、
・計画的に節約するというやり方がよくわからなくなっちゃった
など
ひとりで放っておけない状態になってきてしまうのですが、
自分ではどうしようもない、というのはかなり不安な状況ですよね。
そんな時は何らかの他人(=業者)の手を借りて、生活上のすべて、当然お金のことも含んだ判断、管理を、その相手主導で行っていく必要が出てきます。
そんな時にこの信託業務を事前に設定しておくことで、適切な管理が可能となります。
ただ、その場合に出てくる心配が2点目のリスクで…
2.任せる相手(=個人)の不正リスク
おひとりさまの場合、財産を任せる相手が知人であった場合などに、財産が着服されてしまうということもよく起こりがちなようです。
そんな時には、預かり手が個人でなく法人である信託業務であれば、着服のリスクを最小限に抑え、財産を安全に管理してもらうとともに、受益者として自分を設定しておくことが可能となります。
任意後見人という別な制度もありますが、こちらは生活全般をサポートするのに対し、信託業務は、財産に関する事柄に特化していますので、
・全般のことは広く「任意後見人」で、
(任意後見人についての記事はこちら)
・財産のことは「信託業務」で、
と役割を分けておくと着服による不正などのリスクの分散にもなり、
2つを組み合わせることで、おひとりさまにとっては、さらに有効な策になると思います。
3.財産の流動性リスク
また、
不動産などは売却すると言ってもなかなかすぐに買い手が見つからないということもありそうです。これが現金と不動産の大きな違いですが、この場合の不動産は、現金と比べて、「流動性が低い」といえます。
流動性が低い資産は、売れるまでの待ち時間があったりして、有効活用がスムーズにできないというリスクを抱えます。
この信託という仕組みでは、現金や不動産などをひとまとめにして信託銀行などへ委託すると、本人へは「受益権」という形で返ってきます。
財産の形が変わってしまうと言えます。
するとどうなるか?
例えるなら、財産を預けて、それの引換券を得たようなもの、
と考えてみることもできます。
それで、こんどは、その引換券を売却したり、贈与したりと、手軽に扱うことができる、というようなイメージでしょうか。
ですから、
この財産を受け渡したりする際には、
こんどは財産の代わりに得た「受益権」を第3者へ受け渡したりできるようになります。
不動産を直接受け渡すよりもスムーズになる場面も出てきそうです。
それに、引き取り手のない財産は国のものになってしまいますので、
おひとりさまの場合、
死後に残ってしまう財産を、お世話になった第3者や、団体へ寄付しようと考える場合もあるかと思います。
信託業務により、対象者を第3者へ決めて受益権を遺贈する。というパターンが使えそうです。
財産をすべてひとまとめにして、第3者へ受け渡すよう設定できるという点において
この信託業務が持つ手軽さ(流動性の高さ)は一考の余地があるのではないでしょうか。
財産ごとにいろいろ考えなくて済むというワンストップ性は、老後のおひとりさまにとってはすごく楽なことですよね。
まとめ
さて、まとめますと
信託業務とは、財産を一括して、運用・管理を肩代わりしてくれるもの
財産を預けると、引き換えに「受益権」がもらえる。
3つのリスクを回避できる。
・認知症リスク
・任せる相手の不正リスク
・財産の流動性リスク
等を考えた場合に安心。
ということでした。
財産の分配をワンストップで考えたいという方には
うってつけの制度かと思います。
任意後見人との併用など、費用も比較しながら検討してみてはいかがでしょうか